金融コミュニケーション論「投資の基本」④債券リターン>預金金利になる理由
今回は、長期的に債券のリターンが預金金利を上回る理由についてのお話をしたいと思います。
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債券って何なの?
債券とは借金証書、お金を貸すことになります。
社債であればその会社にお金を貸してあげる、国債であればその国にお金を貸してあげて、満期になると利息と元本が返ってきます。
これを交わした証書が債券になります。
社債の利息は会社のリスクで決まる
図の左側を説明します。
この図は例えば銀行預金の金利が1%の世界として、投資家からすると銀行に預けると1%いつかもらえて、なおかつ銀行が潰れないという仮定のお話をします。
そうすると安全確実に1%の利息がもらえる、そういう社会に今住んでいるということになります。
その中で社債を買うということは、どういうことでしょうか?
会社にお金を貸してあげるということは、どういうことでしょうか?
民間企業は潰れるかもしれないというリスクがあります。
例えばその社債の利息が1%だったとしたら、絶対に投資しませんよね?
なぜならば、銀行に預ければ安全確実に1%の利息がもらえるからです。
ということは、この時社債の利息は1%じゃなく、2%、3%、、、と変わるかもしれません。
この利息は何で決まるかというと、その会社のリスクになります。
超一流で借金の無い優良企業と、この会社大丈夫かなと思う会社に同じ利息でお金を貸しますか?ということになります。
会社は社債の利息以上の収益をあげないといけない
今度は企業の立場に立ち、投資家から3%の利息で社債を集めた会社だとします。
この会社はこのお金を使って設備投資をしたり、人員を増やしたり、積極的な展開を図ってさらに利益をあげるということをしますが、当然ですがその利息を上回る利益をあげる活動をしないといけません。
つぶれない限り、3%以上の収益をあげて、投資家に対して3%の利息を返して満期がくると元本を返済していく形になります。
そうするとまた何か投資案件が出てきたときに、社債市場でお金を調達しようと投資家がお金を出してくれるかもしれません。
しかし、3%以上の収益があがらなかった場合、返済に滞ってくることがあるかもしれません。
利息の返済が遅れてしまうことをデフォルトと言います。
倒産は別として利息を払えないとどうなるかというと、もう二度と社債市場での資金調達ができなくなります。
基本は3%を超える利益をあげて投資家に返していく、ということで預金金利が1%の世界の場合は、債券から得られる利益は、それよりも高いパーセンテージになるということになります。
だから長期的には債券からのリターンが預金金利を上回るのです。
債権の利息が預金金利を下回っていた場合
次は右の図をちょっと違った観点で説明します。
例えば債権の利息が預金金利を下回っているということは、どういう状況かという図になります。
預金利息は1%です。
債券の利息が預金金利を下回っているので誰も社債に投資しません。
だから投資家のお金も全部銀行にいきます。
銀行はその1%を超える利息を返さなければいけないので、そのお金を持っていてもだめなので融資しないといけません。
ところがこの時企業は、預金金利を下回る利息状況になっていてリターンを上げられないので、銀行が融資する先がないといった状況になります。
債券利息が預金金利を下回る世界というのは、銀行が融資できる企業が存在しないということを意味しています。
ということは、銀行は預金金利の1%を引き下げて、「企業に融資して、返済される利息を下回る預金金利」こういうプライシングをしていくことになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
このように長期的にはこの債券利息は預金金利を下回るということはなく、逆に債券投資のリターンは預金金利を上回ることになります。