金融コミュニケーション論「長期投資を語る」②資産価格は「価値」をアンカーにして動く

アンカーというのは船のいかりのことを言います。

ここで伝えたいことは、「価値と価格はイコールではない」ということです。

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価格と価値の違い

価値と価格ってどう違うと思いますか?

図を見ていただくと赤い点々のグラフが価値(株で言うと企業価値)だとします。

株価は必ずしも価値と同じように動いているわけではありません。

需給関係、あるいは人々が楽観的になって、経済がこのまま調子がいい状況が続くのではないかと思い、価値を上回る価格で株を高い値段まで買い上げてしまうので、価格を大きく上回る場合があります。

そしてこれが極端にいきすぎるとバブルという現象になってきます。

逆に価値の低下が始まりそうだなとなってくると、投資家が前倒しで動く習性があるため、実際に価値の低下が見られる少し前くらいから株価が低下してきます。

そしてこの価値が下がってくると、もっと下がるんじゃないかと思い、売り市場になり価格が価値をかなり大きく下回ります。

価値あるものが、より安い値段で取引されるため、一種のバーゲンセール状態になります。

このように価値と価格というのは動いています。

価値は船のいかり(アンカー)

価値は船のいかり=アンカーみたいなものになります。

いかりとは、水上の一定範囲に船を止めておくために、鎖やロープを付けて海底や湖底、川底へ沈めて使う道具のことを言います。

船は潮流や風の向きによって右に行ったり左に行ったり、色々と動きますが基本的にはアンカーの周りを行ったりきたりしています。

だから価値は例えるとアンカーなのです。

投資家心理とか、そういったものが風の動きや潮の流れによって、船の位置=価格が動いていく、といった感じに捉えていくと分かりやすいのかなと思います。

価値の計算はファイナンス理論と行動経済学から考える

ファイナンス論というのは、この価値をどうやって計算するのかということになります。

市場価格がどう決まるのかというのは、伝統的なファイナンス理論で説明するのが難しいので行動経済学(人はなぜ非合理的な行動をするのかという研究)と両方のアプローチから考えていくと整理することができるのではないかと思います。

価格は価値をアンカーにして動く

まずここで知ってほしいのは、価値と価格は違うということ。

価値は価格の周りを向かっている方向に行くということ。

今回は価値と価格との関係をお話させていただきました。