金融コミュニケーション論「長期投資を語る」⑤人口動態と長期株価の関係

今回は人口と株価の長期的な関係についてお話をしたいと思います。

人口動態と株価というのは非常に大きな相関関係があると言われています。

日本の株価が高騰したのは、団塊の世代がお金を使った時代

例えば我々日本でいうと「団塊の世代」、この方達がお金を使った時代は、日本の経済は非常に好調で株価が高騰しました。

お金を使う時は年齢的に言うと30代~40代の時になります。

なぜかというと銀行からお金を借りて家を買う、車を買う、子育て世代にちょうどあたりますので、子供のための色んな教育や娯楽を含めて支出が増えるからです。

そのため日本の団塊の世代の方々が一番お金を使った頃というのが、ちょうど1980年代になります。

日本経済が好調で、バブルが80年代後半ということになってきますので、これが人口動態と株価のわかりやすい日本の例をあげさせてもらいました。

アメリカの人口動態と株価の関係

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こちらはアメリカの人口動態と株価の関係の図です。

なぜアメリカなのかというと、今世界のマーケットはアメリカが引っ張っています。

アメリカが不調だと日本も不調になりますし、アメリカが堅調であれば日本だけ大きく壊れることはないと思いますので、アメリカの人口動態と株価の関係を今回みなさんにご紹介したいと思います。

右側にハリー・デントという人口動態と株価の研究をされている方が書いた本があります。

大雑把ですがアメリカの株価はある規則性があり、20年間の強気相場と10年間の弱気相場が交互に繰り返されています。

これが人口動態と関連していて、マーケットが今現状はどの辺にいて、今後どうなるのかをみてみようというお話の本になります。

1980年~2000年代ベビーブーマーがお金を使った時代

先程日本の団塊の世代の話をしましたが、アメリカにも団塊の世代があり「ベビーブーマー」と呼びます。

ベビーブーマーの方が、一番お金を使う30代40代がいつだったかというと、1980年から2000年でした。

1980年から2000年までのアメリカの株式市場は、かなりの強気相場ということで結構大きく上げました。

これはベビーブーマーの消費がマーケットを牽引したということになります。

これを中心にマーケットをさかのぼってみます。

1970年代の株式死の時代

実はアメリカの70年代はほとんど上がらないどころか、むしろ下がっています。

何が起きたかというと、1971年に「ニクソン・ショック」というものが起きます。

これは1971年にリチャード・ニクソン大統領が、今までのようなドルと金との交換を停止すると宣言したためドルが大暴落し、アメリカをはじめ世界の株式市場が大暴落にみまわれました。

その次はみなさんご存知かと思いますが、第一次が1973年、第二次が1979年のオイルショックです。

そのため、70年代は軟調で「株式死の時代」と言われていました。

1950年~1960年代アメリカの戦争が終わって高度経済成長時代

ちなみに1950年代1960年代は、アメリカの戦争が終わり高度経済成長時代でした。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」という映画がありましたが、主人公のお父さんお母さんが高校時代に戻った時代で、一般の家庭に車、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が浸透して、アメリカの高度経済成長を描いていました。

この20年間はかなり株価が上がりました。

2000年代バブルがはじけ、リーマンショック

そして2000年代はITバブルがありましたが弾け、2001年に下がってきて、これが3年くらい続きました。

その後ブリックス相場、アメリカの住宅バブルが始まり、盛り返します。

ところが2008年、サブプライムショック、リーマンショックがあり、ズドンと下がりました。

これらの影響で、2000年代ほとんど上がっていません。

2010年代からミレニアルズによる強気相場

2010年から上がり始めていますが、20年間の強気、10年間の弱気と繰り返しているので、2010年から20年間の強気相場が始まったのかもしれません。

そうだとしたら今は2022年なので、あと10年近く続くかもしれませんね。

競馬の予想みたいだと思われるかもしれませんが、実は人口動態的な見方があるということなんです。

上がり始めた2010年はどういう年だったかというと、ベビーブーマ―の子供達がいました。

日本の場合は、団塊の世代の子供たちは少ないですが、アメリカの場合はベビーブーマーよりもその子供達のほうが数が多くいます。

ちなみにベビーブーマの子供達には名前がついていて、「ミレニアル世代」あるいは「ミレニアルズ」と言われています。

ミレニアルズとはどういうことかというと2000年に20歳になった子供達、1980年以降に生まれた子供達にあたります。

彼らが消費年齢の30歳になったのが2010年頃でした。

株式市場との相関が高い

人口動態的にいうと2010年から強気相場が10年くらい続いているんですけども、これでいうのであれば、後10年くらいは株価を支えていくのではないか、という見方になります。

意外と人口動態というのは馬鹿にできなくて、株式市場との相関が高いということは知られています。

今回は、人口動態と株価の長期的な関係について、お話をさせていただきました。