投資信託論「インデックスファンドの基礎知識」④反証例
1回目では、アクティブファンドがインデックスファンドに勝てるものが2割3割しかない、というお話をさせていただきました。
逆に言うと2割3割インデックスに勝っているのであれば、それを探して保有すればアクティブでいいんじゃないか?といった考え方もあります。
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スパゲティーチャートでわかる顔ぶれの入れ替わり
実はそれを覆すデータが、上図のとある論文の挿絵になります。
直線が入り乱れていて、まるでパスタを床に落として麺が散らばったかのように見えるということで、「スパゲティーチャート」なんて言われています。
この絵で分かるように、ある年トップにいたアクティブファンドがずっとトップにいるということはあまりなく、時には翌年下の方にあったり、また翌年には上の方にあったりします。
どういうことかと言うと、確かにインデックスを超えるアクティブファンドは2割3割ずっと存在しているのですが、その2割3割はいつも同じ顔触れではなくて入れ替わっている、ということです。
したがって、長期で保有する限りにおいては、アクティブよりインデックスの方がいいのではないか、ということになります。
これでアクティブファンドに対する有効性が、完全に否定されてしまった感じになります。
しかし、「流行は必ずいつか変わる」というマーケットスタイルを排除するとアクティブって有効性が高いんだよ、ということを検証した方がいらっしゃったので、ご紹介したいと思います。
アクティブファンドの有効性
上の図はスタイルボックスと言います。
縦軸はバリュー系かグロース系かを見るためのもので、具体的に言うと「PER(株価収益率)」「PBR(株価純資産倍率)」があります。
「PER」「PBR」は、株価とその企業がもつ保有資産との関係を意味します。
株価が高く買われているということは、その企業の現状の資産や利益よりも将来性を投資家は買っているということで、株価は上がっていき、これをグロース(成長株)と言います。
上にいけばいくほどグロースの銘柄が多くなり、下にいくと今持っている資産に比べて株価が買われていなく、低いということになっていき、これをバリュー(割安株)と言います。
横軸は時価総額(発行株数×株価)になり、左にいくほど大型株、右にいくほど小型株となります。
こうして4つに分けると、左上は大型グロース株、左下は大型バリュー株、右上は小型グロース株、右下は小型バリュー株になります。
例えばあるアクティブファンドが、この中でどの辺りに位置するのか確認します。
もし、そのファンドが小型グロースに入ったのならば、トピックスや日経225で比較するのではなくて、小型グロースインデックスの指数に対して勝つかどうかということを比較します。
例えば大型バリュー系のある投資信託であれば、大型バリューインデックスの指数と比較するということになります。
実はこのようにマーケットスタイルを排除して、アクティブファンドがベンチマークにどれだけ勝っているか負けているかを見ると、スパゲティーチャートのようにはなりません。
少し専門的になりましたが、「アクティブファンドの有効性」を示すひとつの例でした。
最近ではスマートβなんていうのも出てきましたので、またいろいろとご紹介していきたいと思います。