投資信託論「投資信託って何なの?」④投資信託の経済機能
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投資信託はそもそも何のためにあるの?
30年くらい前ですが、ウィリアム・シャープとアレキサンダーの「インベストメント」という本がありました。
この本には「投資信託とは、長期的な資本市場の収益率を、家計に還元する導管(conduit)」ということが書いてあります。
また、フランスの経済学者トマ・ピケティが2014年に書いた「21世紀の資本」という本が、当時ベストセラーになったのは記憶にありますでしょうか?
この本がベストセラーになった背景というのは、当時貧困が話題になっていました。
日本では派遣切り、アメリカではウォール街でITの高収入者、中部南部の労働者との格差がありました。
この本に書かれているのは、何で格差が開くんだろうかということを、過去200年間20か国のデータをつぶさに調べた結果、これだというのが「r>g」だということでした。
収益率「r」とは
資本の成長率、株式、債券、この長期的な収益率を「r」といいます。
「g」はGDP成長率になります。
今全世界のGDP成長率平均が3.3%くらいですが、おそらく賃金の伸び率はこれより低いです。
それに対して長期的な収益率「r」は株式7%、債権4~5%とこの本に書かれています。
お金持ちは、自分の資産を株や債券等で運用しています。
だから自分の金融資産が、このr%で成長していくということです。
そうでない一般の人、労働者は運用しませんからコツコツ働くわけです。
所得・賃金の伸び率はどのくらいかというと、当然資本の成長率にはかないません。
時間の経過とともに資本家はr%で金融資産が成長します。
一方、労働者がそれよりさらに低い率でしか所得が伸びていかないので、貧富の格差が開いていくと、 「インベストメント」 で言っています。
今の日本の家計にはrが届いていますか?
それをピケティの不等式に落とし込んで、先程の話を絡めていきたいと思います。
私の解釈ですが、このrは家計に還元します。
これが投資信託の定義になります。
今の日本の家計にはrが届いていますか?届いていませんよね。
ということは、日本の投資信託は機能不全に陥っていることになります。
そして、これをお届けするのは誰の役割ですか?金融機関ですよね。
残念ながら、これも機能を果たしていません。
なぜそうなるかというと、
「短期で相場観で今が買い・売り」
こういったやり方をするとお客様にrが届きません。
このシリーズは、「投資信託というのは、お客様にこの資本成長率rをお客様に届ける」という考え方を一貫していきたいと思います。
投資信託というのは、短期で利ザヤを取るという考えではなく、本来は年金のように使うものなんです。
「30歳の方が60歳までに老後のお金を作りたい」
「65歳の方が退職金をもらって、そのお金を運用しながら取り崩しして資産寿命を延ばしたい」
これを叶えられる有効なツールなのです。
投資信託が人々を幸せにしていますか?
投資信託って本当はいいものなのですが、正しい使われ方がされていないために、ちょっと可哀そうな存在になっているんじゃないかな思います。