金融コミュニケーション論「長期投資を語る」⑥資本主義の掟

さいたま市 資産運用

上の図は長期のアメリカ株式市場と債券市場のリターンになります。

1926年を1とすると90年間で米国の小型株式のインデックスはなんと6000倍で、年率は12.0%です。

そして大型株式は、90年間で5390倍、年率平均リターンは10%です。

アメリカの長期10年債は132倍で年率5.6%、1年国債(短期債)は21倍で年率3.4%です。

実質値を見たければインフレ率を引くので、インフレは年率平均で2.9%になります。

累積で見ていくと13倍ということになるので、預貯金の金利よりも、債券、債券よりも株式、長期的にはこういったリターンの順位がつけられていくかと思います。

今回は資本主義の掟という枠組みの中でこれについて説明したいと思います。

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企業がビジネスをするために資金調達する仕組み

さいたま市 資産運用

そもそも企業ってなんでしょう。

企業というのは、資本・お金を人から出資してもらう形で資金を調達します。(自分で出す場合もあり)

この調達したお金を使って、ビジネスに投資をして利益をあげていきます。

負債や資本を調達するということは、当然その向こう側には相手がいるわけで、相手に強制的にお金を出させているわけではなくて、相手が自発的にお金を出しています。

どういう条件が整えば、彼らは自発的にお金を提供してくれるのかということを考えることが大事なんです。

つまり、そこにマーケットというものが存在し、相対する2社がお互いの利益のために納得する価格で取引をしていくというのが、マーケットというところなんです。

負債コストの仕組み

例えばまず負債から見てみます。

仮に預金金利が1%の銀行からお金を借りるとします。

一般の投資家が、もし預けると金利が1%もらえるという状況だとします。

そうすると、この企業はお金を借りたいので銀行から融資をうけます。

その時の利息はどうなるでしょうか?

当然ですが1%では貸してくれないので、「1%+α」これが銀行の利益になっていきます。

「α」というのはこの企業のリスクの度合いによって変わってきます。

トヨタさんみたいな会社であればαはほとんどないかもしれませんが、逆に財務格付けの低い会社であると当然ですが銀行さんはαの数字をかなり上乗せしてくるかと思います。

つまりαは企業の信用リスクに比例して数値が大きくなっていきます。

企業はこの融資をうける時に、当然この「1%+α」を超えるリターンをあげられると思って借りています。

銀行もこの企業の財務リスクに対しては、「1%にα」の利息を上乗せすれば、リスクに対して納得できる金利だといったもとで、お互いこの契約が成立します。

そして、この会社はこの利息を必ず返さないと、つぶれてしまいます。

社債投資とは

次は社債の説明をします。

社債は、銀行を経由せずに投資家が、直接この企業が発行する社債を購入することになります。

この時、この社債の利息何パーセントだったら、投資家は投資すると思いますか?

まず1%だったら、どうだと思いますか?この企業の社債を買いますか?

絶対買いませんよね。

なぜかというと、銀行に預けると1%の利息がもらえるからです。

だから投資家は、企業に対して1%+αの社債を要求します。

ファイナンスの言葉では、このαのことを「リスクプレミアム」と呼んでいます。

投資家は、必ずそのリスクに応じたプレミアムを要求するわけなんです。

そして、この企業は投資家に社債を買ってもらうということは、その利息である1%+αを必ず満期の時に返すことが条件になり、返さないともう二度と社債市場での資金調達ができなくなり、存続事態が危うくなってくるということになります。

企業からすると、このお金を調達してビジネスをしようと思っているのですが、当然「ビジネスのリターンというのは、負債コストを上回る」といった考え方で、このお金を調達したと考えるわけです。

資本コストの仕組み

そして株も同じです。

投資家が、この会社の株式に投資をするということは、当然1%の配当では納得できません。

社債の投資と株式の投資、どちらがリスクが高いかというと、株式の方がリスクが高いです。

なぜかというと、万が一の場合の弁済順位が、株式の方が債券に比べると、劣後する場合があるからです。

そして債券は必ず利息と最後に元本が返ってくることが約束されていますけど、株式は場合によっては配当が出なくなるかもしれない、あるいは値下がりしてしまうかもしれません。

社債の1%+αの期待リターンを上回る利益がないと、基本的に出資してくれないという考え方なので、企業側からすると資本コストというのは負債コストより高くなります。

そしてこの企業というのは、資本を調達して事業を行うわけですが、そこから得られる利益リターンというのは、やはり資本コストを上回ります。

そのため企業というのは負債コストや資本コストを上回るリターンをあげる事業投資、ビジネスを続けていかないと存続できません。

なぜ株式が債券よりも高いリターンをあげているかというと、株式の方がリスクが高いので当然出資した人からすると、リスクに応じた収益率を期待するわけです。

そして企業は、その要求収益率を超える利益を事業であげて、投資家に報いていき、できない会社は市場からレッドカードを渡されて、株式市場から退室をせまられます。

つまり上場している企業というのは、基本的に優良な企業しか生き残れないということです。

これがタイトルにある「資本主義の掟」ということになります。