金融コミュニケーション論「長期投資を語る」①資産価値はなぜ上昇するの?
金融コミュニケーション論の中心テーマになります。
第1回目は「資産価格は長期でなぜ上昇するのか」ということをお話します。
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超長期の 株式・債券のチャート で見るリターン
この図はアメリカの超長期の株式・債券のチャートになります。
左端の1926年から右端の2015年末まで90年間のデータで、どのくらい値上がりしたかを見てみたいと思います。
1番値上がりしたのがアメリカの小型株インデックスで26433倍、年率平均12%です。
インデックスファンドができたのは1975年ですが、もし1926年にインデックスが存在していたらこれだけのリターンを徴収できていたかもしれません。
次は大型株で5390倍、年率平均が10.0%になります。
この2つは、年率2%の違いで90年間でこんな大きな格差につながるのも驚きです。
続いて債券の長期と短期があります。
10年ものの国債は132倍、年率平均5.6%、短期1年国債は21倍、年率平均3.4%になります。
やはり長期的に見ると株式のリターンは、債券のリターンより高いということになります。
またここには出ていませんが、預貯金の金利は実はインフレに負けてしまっているので、債券のリターンは預貯金のリターンを上回るということが言えるかと思います。
資産とは何か?
株式や債券は資産なのか?という疑問を解決するために資産の定義というものを説明いたします。
資産=Assetと言い、それを保有すると将来キャッシュフロー収入が得られるものになります。
キャッシュフロー収入を現在価値で割り引いて足すと、資産の価値が計算できます。
例えば、株式に将来配当が生まれるとします。
将来の配当収入を現在価値で割り引いて足していくと、株価の理論価値を求められます。
そして配当の期待値が上がると、その価値に対する修正認識が行われて株価が上がっていく可能性があります。
そのため増益、増配する企業というのは、株価が上がっていきます。
債券は資産なのか?
債券は保有していると利息収入が得られ、満期に元本が返ってきます。
これを現在価値に割り引いて計算すると債券の価値が計算できます。
不動産も同じように賃料収入が入ってくるので、資産価値の計算ができます。
こんな感じで資産というのは将来キャッシュフロー収入が生まれて、それを現在価値で割り引くことによって資産の価値を数学的に計算できるということになってきます。
つまり裏付けのある価値があるということなんです。
金は資産?
経済学的に言うと実は金というのは資産ではありません。
なぜかというと、将来キャッシュフロー収入をうまないからです。
あくまでも需給関係で決まってくるのです。
こういったものは、英語でコモディティ(Commodity)、日本語で商品という意味になり、残念ですが数学的に計算ができません。
為替は資産?
為替は通貨の交換レートなので資産になりません。
例えばドルと円の交換レートは、ドルが一方的に上がり円が一方的に下がるとその逆はありません。
基本的に為替はボックスの中で動くということになります。
そのため為替も資産ではありません。
いかがでしたでしょうか?
今回は資産とは何か何で価値があるのかということをお話させていただきました。